AI・機械学習

機械学習入門--幅広い分野で活用されるAI技術

機械学習は、コンピューターが大量のデータセットを使用して自ら学習し、データのパターンを見つけ出すという技術だ。この分野の概要、企業での活用方法、倫理面での懸念などを紹介する(2016年6月27日公開、2021年2月12日更新)。

 企業での機械学習の活用事例をいくつか紹介しよう。

  • Alphabet傘下のセキュリティ企業Chronicleは、機械学習を使用してサイバー脅威を特定し、その脅威が引き起こす可能性がある被害を最小限に抑えている。
  • Airbus Defense & SpaceはMLベースの画像認識技術を用いて、衛星画像の雲認識のエラー率を低減している
  • Global Fishing Watchは、漁船のGPS座標を監視することで乱獲と戦っている。この方法により、海全体を一度に監視することが可能になった。
  • 保険会社のAXAは、機械学習を使用してドライバーのリスクプロファイルを正確に作成することで、事故予測の精度を78%高めた。
  • 日本の食品安全会社キユーピーは、ダイスポテトの不良品の検出を自動化し、作業者は何時間も不良品を探し続ける必要がなくなった。
  • Yelpは深層学習を使用して、人々が撮影した店舗の写真を特定のタグで分類している。
  • MITの「OptiVax」は、地理的範囲や人口データなどの変数を使用して、COVID-19やその他の疾患のペプチドワクチンの開発とテストを完全にバーチャルな環境で実行できる。

 ビッグデータ分析を扱うあらゆる企業は、機械学習技術によってプロセスを高速化し、人材をさらに有効活用できる可能性がある。詳細な部分は業界によって大きく異なるだろう。

 AIアプリケーションは、何よりも優先するべきものではなく、ビジネスの問題を解決するために使用されるツールであり、そのようにみなすべきだ。機械学習技術の適切な用途の発見には、妥当な質問をすることや、人間では処理できないほど大量のデータを抱えていることが関連してくる。

安全性と倫理に関する懸念はどのようなものか

 機械学習とAIの使用については、クラウドでホストされるデータのセキュリティや自動運転車の倫理に関する考慮事項など、さまざまな懸念がある。

 セキュリティの観点から見ると、大量のデータの盗難に関する懸念が常に存在するが、セキュリティに対する不安は、データリポジトリーを保護する方法だけにとどまらない。

 セキュリティ専門家はほぼ例外なく、AIがマルウェア対策ソフトウェアなどのセキュリティ対策を迂回してしまう可能性を懸念している。そうした不安は妥当なものであり、マルウェアを改変して、AI活用マルウェア対策プラットフォームを迂回できるようにする人工知能ソフトウェアがすでに開発されている。

 Elon Musk氏、Stephen Hawking氏、Bill Gates氏など、テクノロジー業界の複数のリーダーが、AIが悪用される可能性ついての懸念や倫理的なAIを作ることの重要性を指摘している。Microsoftのチャットボット「Tay」が人種差別的な発言をするようになった失敗事例が示しているように、AIは監視せず放置しておくと誤った方向に進むおそれがある。

 機械学習の世界でも、倫理に関して多くの懸念がある。その一例が、思考実験であるトロッコ問題の自動運転車への適応だ。つまり、自動運転車が搭乗者と歩行者のどちらを犠牲にするかという選択を迫られたとき、どちらを選ぶのが正しいのだろうか。このような哲学的問題に明確な答えはない。機械をどのようにプログラムしようと、人間の生命の価値について道徳的な判断を下さなければならなくなる。

 写真などの記録データを使って、ある人物の顔や声を別人のものそっくりに置き換えるディープフェイク動画は、選挙に混乱をもたらす可能性があるほか、その意思がない人をポルノに挿入するなど、個人を不都合な状況に挿入することが可能になるおそれがある。この機械学習活用ツールの広範な影響は、壊滅的なものになるかもしれない。

 学習する機械に道徳的な判断を下す能力を与えることが正しいかどうか、特定のMLツールへのアクセスが社会的に危険であるかどうか、といった点以外にも、機械学習の利用によって人間に大きな損害をもたらす可能性が高い問題がある。それは人間が職を失うという問題だ。

 AI革命が本当に世界の次の大きな変化であるならば、多くの仕事が消失することになるだろう。それは必ずしも人々が考えているとおりの仕事ではない。多くの低スキルの仕事が存続の危機に瀕していることは間違いないし、高度な訓練を必要とするがパターン認識のような単純な概念に基づく仕事もなくなる可能性がある。

 放射線科医や病理医、腫瘍医などの専門医はすべて、不規則性を発見して診断することを仕事としている。これは機械学習が特に得意なことだ。

 参入障壁に関する倫理的な懸念もある。機械学習ソフトウェア自体は高価ではないが、学習機械を適切に訓練して、信頼できる結果を得るためには、膨大な量のデータが必要で、それを保有しているのは世界の巨大企業だけだ。

 時間がたつにつれて、小規模な企業が影響を与えることはさらに困難になり、機械学習に手を出せるのは潤沢な資金を持つ巨大企業だけになる、と予想する専門家もいる。

どのような機械学習ツールが提供されているのか

 機械学習に関するオンラインリソースは数多くある。機械学習システムの作成方法の概要については、Google Developerが公開しているこちらのYouTube動画シリーズを参照してほしい。Courseraやその他の多くの機関も機械学習の講座を提供している。

 機械学習を組織に組み込むには、「Microsoft Azure」「Google Cloud Machine Learning」「Amazon Machine Learning」、IBM Watsonといったリソースのほか、「scikit-learn」などの無料プラットフォームを利用できる。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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