モバイルを活用することで、企業は生産性を向上させることができる。しかし、技術進化の速いモバイルプラットフォームの中から、業務利用に適したモバイル端末を選び出すのは容易ではない。今回は、業務に適したモバイルOSの条件を考える。
現在、モバイルOSといえば、Appleの「iOS」、Googleの「Android」、Microsoftの「Windows 10 Mobile」が代表格だ。企業での利用を考えれば、「端末コスト」「セキュリティ」「アプリ開発」の3点が主な検討要因となる。
端末コスト
端末コストに関しては、「私物端末の業務利用(BYOD)」のように従業員が個人で購入した端末を業務で利用してもいいかどうかで異なる。日本企業では、業務用の端末を従業員に貸与するのがまだまだ一般的だ。業務に利用できる端末のリストを会社が用意して、購入費用を補助する制度を導入している企業もある。これなら情報システム部門や管理部門が端末をコントロールできる。

AppleのiOS
特に判断が難しいのは、個人所有の端末を何の制限もなく自由に業務利用させる本当の意味でのBYODを許容するかどうか。iOS、Android、Windows 10 Mobileなど、複数のモバイルOS向けにアプリを自社開発したり、動作検証したりする必要があり、運用管理コストが増加してしまう可能性があるためだ。Androidの場合は端末メーカーによって仕様が異なるため、機種ごとに対応が求められる。
それであればBYODの社内規定を整備して、端末の購入を補助したり、貸与したりした方が総所得コスト(TCO)を抑えられるはずだ。
モバイル端末の場合、通信費用についても考えなくてはならない。スマートフォンでは、データ通信だけでなく、音声通話も必要になる。大手の携帯電話事業者でも企業向けプランを用意しているが、仮想移動体通信事業者(MVNO)を利用する方法もある。
MVNOを契約するならSIMフリー端末を使いたい。格安のSIMと端末を組み合わせれば、さらなるコスト削減につなげられる。
従業員にモバイル端末を貸与するのであれば大量購入となるため、端末価格は1台あたり3万~5万円ぐらいで抑えたい。通信事業者をどうするのかでも毎月のランニングコストが変わってくるので、綿密に計算する必要がある。
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