クラウドへのデータ保存は、ここ数年でコストが下がり、柔軟性が増してきた。主なクラウドサービスのプロバイダは多種多様なデータ保存オプションを用意していて、料金はデータのアクセス頻度、保存量、可用性、バックアップ方法に応じて決まる。
世界最大のクラウドインフラサービスを手がけているAmazon Web Services(AWS)は、つい先ごろ同社サービスのストレージオプションを拡充し、低アクセス頻度データ向けの新しいストレージクラスを発表した。

コールドストレージラックで使われているハードディスクを載せたトレー
画像:Facebook
「AWS Simple Storage Service(S3)」に追加された新ストレージクラスは、「標準–低頻度アクセス(Standard–Infrequent Access:IA)」ストレージという名称だ。サービスの位置付けは、オンデマンドアクセスが必要な頻繁にアクセスされるデータ向けのAWS標準ストレージと、ほとんどアクセスされず、コールドストレージとも呼ばれるデータ向けの「Amazon Glacier」サービスの間になる。
このAWSの新ストレージクラスは、ほかのクラウドプロバイダのサービスではどれに相当するのだろうか。
以下が、AWSの標準的で可用性がやや低い(アクセス頻度が高くない)データ用の新サービスと、主要クラウドサービスプロバイダのコールドストレージ用オプションを比較したものだ。

各プロバイダのクラウドプラットフォームで提供されるストレージサービスはそれぞれ異なるが、もっとも近いオプションを選んで比べた。上記グラフでは、Microsoftのサービス料金を比較する際、他プラットフォームの標準サービスとよく似た「Azure Zone Redundant Storage(ZRS)」を使っている。低可用性データ向けやコールドストレージ向けサービスの比較に使えるオプションは、Azureには用意されていない。ほとんどのオプションは、保存データ量が増えると1GB当たりの料金が下がる。
ストレージ料金だけでサービス全体を説明することにはならない。どのサービスも、データのアクセス量と外部への移動量に応じた課金を行う。例えば、AWSの可用性がやや低い新ストレージクラスの1GB当たりのストレージ料金は標準ストレージに比べ安いが、データを取り出すコストは高い。
AWSのGlacierとGoogleのコールドストレージオプション「Nearline」は、ほとんどアクセスされないデータを対象とするサービスなので、ある期間中にあらかじめ規定された量より多いデータを外部へ移動したり削除したりすると、追加料金が発生する。料金の詳細については、こちら(Glacier、Nearline)を参照されたい。
各サービスのパフォーマンスも異なる。AWS Glacierでストレージ利用を設定すると、データを取得するのに最大で5時間かかる。これに対しGoogleは、Nearlineなら数秒で使えるとしている。
データ可用性は各サービスのクラスによって違い、AWSの標準ストレージが99.99%で、Google Standard StorageとMicrosoftのAzure ZRSがいずれも99.9%。Googleの「Durable Reduced Availability Storage」「Nearline Storage」とAWSの標準–IAストレージは、可用性が99%に下がる。
AWSの標準ストレージとAzure、Googleのサービスは、同一リージョン内なら複数のデータセンターをまたいで、複数のデバイスにデータをコピーできる。
調査会社のGartnerは2015年6月、パブリッククラウドストレージを手がける主要クラウドストレージプロバイダとして、AWS、Google、Microsoftの名前を挙げた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。