SDS/ストレージ仮想化 EMCジャパン 日本アイ・ビー・エム デル 富士通

ストレージベンダーが考える“ソフトウェア定義ストレージ”の存在価値(後編)

ソフトウェアでストレージを制御する“ソフトウェア定義ストレージ(SDS)”の動きが活発化しつつある。デルや富士通、日本IBM、EMCジャパンの4社に集まってもらい、座談会を通してSDSの存在意義を探ってみる。今回は後編。

コストが高くなってしまっては本末転倒

――ユーザー企業の中には、ベンダーロックインを回避するための手段としてSDSに期待する向きもあります。

波多野氏:ベンダーロックインを排除したいのはユーザー企業だけとは限りません。実は、IBM自身がストレージ市場で上位に食い込めない時期が長かったので、ベンダーロックインをなくしたかった。

 そこで2003年に投入したのが「SAN Volume Controller」というストレージ仮想化製品です。現在は「Spectrum Virtualize」という名前になっていますが、2003年以降に登場した主要ベンダーのSANストレージ300種類以上に対応しているので、既存ストレージ機器を有効活用しながらベンダーロックインやサイロ化の解消に取り組まれる企業が増えています。

若松信康氏
EMCジャパン マーケティング本部 フィールドマーケティング部プリンシパルマーケティングプログラムマネージャー 若松信康氏

若松氏:最近のOpenStackの盛り上がりもあり、ロックイン回避の手段を具体的に検討する企業も増えています。ただ、OpenStackを使っていても特定のストレージ運用要件があれば、それに適合する製品の選択肢は結局限定されます。

 OpenStackを使ったとしても、完全な回避は難しいのが現状です。ただし、選択肢を確保し、移行できる逃げ道を用意しておくという意味でSDSは有効だと思います。

小島氏:デルはパートナー企業と連携してSDSを提供していてオープンな製品しかないですから、ロックインからは一番遠いベンダーかと思います。重要なのはロックインを排除することが目的ではないということです。ベンダーロックインを排除するために、コストが高くなったのではナンセンスです。

どこから始めるべきか

――SDSはこれから盛り上がっていくと思います。ユーザー企業はどの分野、どの部分からSDSに取り組むのがよいのでしょうか。

小島氏:IAサーバベースのストレージは確実に増えていくでしょう。ただし、ワークロードの向き不向きを正しく判断することが重要です。ある大手都市銀行様では、バックアップのアーカイブ用途からSDSを導入しました。向いているところから導入して、徐々に適用範囲を広げていくのがよいでしょう。

荒木氏:当社の場合、サービス事業者や分析のためにデータをオンライン状態で長期保持したいといった企業からの問い合わせが多いですね。いずれも大量のデータがあって、データ移行が困難なケースです。いくらでもスケールアウトできるSDSは、こうした領域にぴったりです。

波多野氏:SDSが最終的に目指すところは、標準化して仮想化して自動化された俊敏で効率的なストレージ基盤によって、ビジネスニーズに迅速に応えることです。その目標を掲げてSDS製品を選ぶのであれば、これまで投資してきたマルチベンダーなストレージ環境をきちんと束ねられるかどうかという点をじっくり評価していただきたいですね。

若松氏:ストレージリソースを利用できるようになるまでのスピードが求められることが増えていますが、それを追求した場合 あらかじめSDSが汎用サーバに組み込まれた“ハイパーコンバージドインフラ”を導入するという選択肢もあります。ベンダー依存度は高まりますが、運用リスクを低減してリソース提供スピードを向上する上でハイパーコンバージドインフラは有効です。

 ソフトウェアデファインドの利用パターンはたくさんあります。適用領域も広がっていくことは間違いありませんので、適用領域の広がりに中長期的に対応できるか、フラットな目で吟味して、活用していただくのがよいでしょう。

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