富士通の「ETERNUS TR800」シリーズは、VMwareのサーバ仮想化環境に特化したストレージ。VMware環境からNFSでアクセスするNAS(ファイル共有サーバ)であり、ファイルとしてVMwareの仮想ハードディスク(VMDK)を格納する。これにより、VMware環境のプライマリストレージとして動作する。Tintriの「Tintri VMstore T800」シリーズのOEM(相手先ブランドによる生産)になる。
最大の特徴は、単なる汎用のNASではなく、VMwareの仮想ハードディスクイメージの格納に特化していること。具体的には、アライメントを自動調整する機能を備える。仮想サーバのファイルシステム上のデータブロック書き込みと実際のストレージ上のデータブロック書き込みのズレを運用中に自動的に修正する。これにより、自動調整しない場合と比べてストレージI/O性能が向上するという。

ETERNUS TR800シリーズの外観(富士通提供)
ソリッドステートドライブ(SSD)の採用で高速化を図っている点も特徴である。ファイルのメタデータをSSD上に置くほか、SSDとハードディスク(HDD)を混在させた構成で動的な階層型ストレージ管理(ILM)を構成している。データを書き込むタイミングで重複を排除するインライン型の重複排除機能も組み合わせている。
ウェブブラウザの管理GUI画面からは、仮想サーバごとにストレージ要件(容量やIOPS)などを設定できる。個々のストレージ領域ごとに領域を利用する仮想サーバ名や仮想ディスク名(SCSI 0:2など)、IOPS、ストレージ容量などを設定する。この領域ごとにIOPSの総量を超えない範囲で自由にストレージ性能(QoS)を割り当てられる。
用途と機能 | 仮想サーバのディスクイメージを格納する用途に特化した仮想化環境向けストレージ | ||
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特徴 | アライメントの自動調整で仮想サーバ上のブロック書き込みと実際のストレージ上のブロック書き込みのズレを補正 サーバごとにIOPSを設定できる(使用状況に応じた自動設定と手動設定が可能) SSDとインライン重複排除で高速化を図っている | ||
モデル | TR820 | TR850 | TR880 |
データ格納容量 | 23Tバイト | 66Tバイト | 100Tバイト |
格納VM数 | 750台 | 2000台 | 3500台 |
税別価格 | 最小構成で1497万8000円から(初年度サポート込み) | ||
発表日 | 2015年1月15日 | ||
出荷日 | 2015年2月20日 |