日本IBMの「IBM FlashSystem 900」は、フラッシュメモリで高速化を追求した外付けSANストレージ装置である。個々のフラッシュメモリボード上にFPGA(Field Programmable Gate Array)で実装したデータ転送エンジンを搭載するなど、独自のハードウェア機構を採用して高速化を図った。
I/O性能は、読み取り時が毎秒110万、書き込み時が毎秒60万。アクセス遅延は、書き込み時が90マイクロ秒、読み取り時が155マイクロ秒。スループット(帯域)は、読み取り時が毎秒10Gバイト、書き込み時が毎秒4.5Gバイト。筐体は、高さが2Uで、幅445×奥行き761ミリメートル。
FlashSystem 900は新モデルにあたる。既存モデルの「IBM FlashSystem 840」と比べて、フラッシュチップを独自開発の高密度、高信頼型のMLCチップに置き換えたことで容量を約40%増やしている。既存モデルが搭載するeMLC型と同等の書き込み回数を実現しながら、モジュールあたりの容量を増やした。
既存モデルと新モデルの容量比較は以下の通り。既存モデル(840)は、RAID 5構成時に、最小2.06Tバイト(1Tバイトモジュール×4枚)から最大41.23Tバイト(4Tバイトモジュール×12枚)。これに対して新モデル(900)は、RAID 5構成時に、最小2.4Tバイト(1.2Tバイトモジュール×4枚)から最大57.0Tバイト(5.7Tバイトモジュール×12枚)。
機能を高めた上位モデル「IBM FlashSystem V9000」(3625万1200円から)も用意している。複数の外部接続SANストレージや内蔵ストレージを束ねて仮想化するストレージ仮想化機能やストレージ階層化(ILM)、データのリアルタイム圧縮、シンプロビジョニング、スナップショット/レプリケーション、などの機能を利用できる。
ストレージの高速化によるメリットとして日本IBMは、ソフトウェアライセンス費用の削減を挙げる。特に、データベースサーバ用途では、ストレージI/O性能を高めることでシステム性能が向上する。高速なストレージに置き換えることで、データベースサーバ機のCPUやCPUコア数を減らせるので、その分だけライセンスが減るというシナリオである。

FlashSystem 900の外観(日本IBM提供)
用途と機能 | SAN接続型の高速フラッシュストレージ |
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特徴 | フラッシュメモリボード上にFPGAでデータ転送エンジンを実装するなど独自のハードウェア機構を採用して高速化を図っている |
大きさ | 2U |
ホスト接続インターフェース | FibreChannelかInfiniBand |
I/O性能 | 読み取り時:毎秒110万 書き込み時:毎秒60万 |
アクセス遅延 | 書き込み時:90マイクロ秒 読み取り時:155マイクロ秒 |
スループット(帯域) | 読み取り時:毎秒10Gバイト 書き込み時:毎秒4.5Gバイト |
容量(RAID 5構成時) | 最小2.4Tバイト(1.2Tバイトモジュール×4) 最大57.0Tバイト(5.7Tバイトモジュール×12) |
税別価格 | 最小構成で1339万2000円から |
発表日 | 2015年2月24日 |
出荷日 | 2015年3月20日 |
備考 | ストレージ仮想化/圧縮機能を兼ねた上位モデル「IBM FlashSystem V9000」(3625万1200円から)も用意 |