人工知能(AI)と聞いてまず思い浮かべるのは、たいていの場合ロボット執事や自動運転車といったものだろう。しかし、AIはビジネスの未来像を予測させてくれる存在でもある。
IBMが提供しているAIベースのコンピューティングシステム「Watson」は、ビジネスの最前線に機械学習、自動推論、自然言語処理といった手法を最初にもたらすシステムの1つになり得る。
IBMは形をさまざまに変える膨大なデータを扱えるWatsonを開発し、その機能を販売するだけでなく、Watsonの能力を活用して革新を起こそうと考えるコミュニティー、Watson Ecosystemも運営している。同コミュニティーは、同じ考えを持った起業家と企業に加え、早い段階からベンチャー企業を支援するアクセラレーターやインキュベーターで構成される。
Watson Ecosystemのディレクターを務めるLauri Saft氏は、同コミュニティーの対象を「認知技術の応用や事業化を考えていたり、Watsonの技術で既存事業の拡大を目指したりしている企業」と説明する。
Saft氏によると、Watson事業部門は発足後すぐ、IBM単独でWatsonに適したビジネス用途を漏れなく見つけることなど無理だと認識したという。そこで、WatsonのAPIを開示し、多種多様な業種の企業に可能性を見出してもらうことにした。
Watson Ecosystemはヘルスケア分野で一気に成長し、今は17か国に広がってさまざまな業種から数百のパートナーが参加する規模になった。現在、参加パートナーが自分たちのビジネスで利用可能なAPIは、25種類まで増えた。
以下では、Watsonで自社サービス改善に取り組んでいる企業5社を紹介する。
残り本文:約1791文字 ログインして続きを読んでください。